法令設備
(東京都建築安全条例)(消防法)
東京都安全条例における見直しの内容とは?
あくまで東京都での条例についてですが、これまでは条例によってシェアハウス建築についていくつかのハードルがありました。
例えば
- 路地状の敷地には建築してはいけない
- 寝室から直接避難できる空地を設けること(窓先空地、窓の大きさについても指導がある)
- 遮音間仕切壁を設けること
など…。
それが今回の見直しによって一定の要件を満たすことで可能(不要)になりました。
ただし、原則として緩和の対象となる建築物は、
- ・居室の床面積が100㎡以下の階または100㎡以内毎に準耐火構造の壁若しくは防火設備で区画されていること
- 各居室に住宅用防災報知設備等を設置すること
- 各居室から直接または定められた歩行距離内において屋外へと避難出来ることを満たした建築物であること(別に自動スプリンクラー等を設置する場合の要件もあります)
その上で規模、寝室数の要件を満たす必要があります。
- 延べ面積200㎡以下
- 階数3以下
- 避難階以外の階の寝室数6以下
- 寝室数の合計12以下(自動スプリンクラー設備等設置部分は制限なし)
1. 路地状の敷地に建築可能になりました。
これまでは特殊建築物の路地状敷地での建築は出来ませんでしたが、今回の規制緩和で路地状敷地(旗竿型の土地)への建築が可能になりました。
評価の低かった旗竿型の土地もこれにより土地の利用方法に可能性が広がりました。
2. 各寝室に必要だった窓先空地が不要になります。
シェアハウスの設計をする上で頭を悩ませてきたのが窓先空地です。道路に面しない寝室全ての窓の先に避難上有効な空地(1.5m~)を設け、その上道路まで屋外通路(1.5m~)を確保し避難経路としなければいけませんでしたので、プランニングにおける制限が大きかったのです。
今回各階の共有スペース(または寝室)に避難上有効な開口部と50cm以上の避難経路を確保することで良くなり、既存の住宅からシェアハウスへ転用できるケースが増えると考えられます。
3. 遮音間仕切が不要になりました。
既存住宅を改修しシェアハウスとする時にコスト面、施工面でネックになっていた寝室間、寝室と廊下間の間仕切壁の遮音性能が緩和により不要になりました。
4. 廊下の両側に居室を計画可能、また廊下の幅の規制なし。
規模によっては規制を受けていた廊下のあり方が変わりました。
既存の住宅では構造の問題から廊下の幅を広げることは難しかったのですが、規制がなくなったことで間取りの変更が少なく済み、既存住宅からが転用がしやすくなりました。
主だったものを紹介しましたが、既存住宅の活用、新築での土地利用の効率UPに可能性を感じる緩和内容で今後の不動産投資に大きく影響する内容です。
ただ、既存住宅からの転用をお考えの場合は、既存住宅の状態によっては転用への手続き上のハードルが高くなることもありますので、物件ごとに専門家への相談、その土地の役所などとの協議によって問題をクリアにしておくことが重要です。