投資環境
本当にシェアハウス投資で良いんですか?土地の最有効使用の判定
・新築シェアハウス投資をしたい…
・所有不動産(土地)にシェアハウスを建てたい…
などといったご依頼やお問合せを頂くことがあります。
弊社にとって大変ありがたいご依頼ではありますが、今注目されているからといって、何でもシェアハウスということにはならない筈です。
シェアハウスが最も利回りが高いという錯覚をしている場合もあります。
確かに、シェアハウスの知名度やグレードも以前に比べ格段に向上しています。シェアハウスのコミュニティも運営業者の努力により大変良くなっていますので、入居者の入居期間も一般賃貸物件と変わらなくなってきています。
不動産投資という観点で、理論的なお話をさせて頂きますと、趣味嗜好で収益は関係なく、どうしてもシェアハウスを運営したいという方は別として、「土地の最有効判定」という考え方からすると、その土地に開発された建物からの収益で不動産価値を判断する収益還元法があります。
もしかすると、賃貸アパート、長屋、駐車場、介護施設、トランクルーム、オフィス、シェアオフィス、民泊事業など…の方が最有効利用と評価される可能性があります。
一般的には、投資実行前に以下の(1)~(5)をシミュレーションします。
- GPI (Gross Potential Income:総潜在収入)
その物件に、空室・滞納による損失が全く無いと仮定したときの年間の賃料収入総額(満室時賃料)です。すなわち、その物件が1年間で稼ぐことができる収入の限界値です。 - EGI (Effective Gross Income:実効総収入)
GPI(総潜在賃料収入)から空室損と貸倒賃料(滞納)を引き、自動販売機収入や看板収入などの雑収入を加えたものです。
*EGI=(1)GPI-空室・貸倒損失+その他収入
*空室損はシェアハウス実態調査などから想定します。 - OPEx (Operating Expenses:運営費用)
物件の運営管理にかかる費用や、固定資産税・都市計画税、損害保険料などのランニングコストの合計です。ローン利息と減価償却費は含みません。 - NOI (Net Operating Income:純営業収益)
EGI(実効賃料収入)からOPEx(運営費)を引いたものです。物件の実際の収益力を表しているといえる指標です。
*NOI=(2)EGI-(3)OPEx - Cap Rate (Capitalization Rate:キャップレート、総合還元利回り)
投資家の期待する不動産還元利回りのことを言います。
*Cap Rate=(4)NOI/物件価格
その他様々な投資指標がありますが、見誤ってはならない重要な項目(落とし穴)があります。
(1)の賃料査定と(2)の空室損予測です。
殆どの不動産投資は金融機関のローンを利用しますが、これを見誤ってしまうとADS (年間元利返済額)がNOIを上回ってしまう可能性があります。
結果的に、デフォルト(債務不履行)になっているケースが多々あります。個人投資家であれば個人民事再生に至ってしまうこともあります。
一般賃貸やオフィス、民泊事業には過去のトラックレコードが蓄積されており、所謂ビッグデータにより、場所、面積、グレードなどから賃料査定の精度を高めることが出来ます。
シェアハウスは歴史が浅いため、賃料査定が難しいと思われがちです。しかしながら東京都内でも2,000棟以上のシェアハウスが運営されており、現在では既にビッグデータを構築しています。
売り手側(業者)による、根拠のない賃料査定は通用しなくなってきています。
・各区別の稼働率、平均居室面積、平均賃料のグラフを入れる
・沿線別の稼働率、平均居室面積、平均賃料のグラフを入れる
・最寄り駅からの距離別(徒歩分数)の状況のグラフを入れる
Product(リフォーム、リノベーション)やPromotion(広告宣伝)の手法によっては、賃料は多少上下しますが、ビッグデータによる基本情報を無視して投資シミュレーションを展開するのは無謀です。